お遍路から帰った翌日、家まで泊まりに来てくれたOくんのことをやっぱり書いておきたい。
前日、「もしよかったら連絡してね。」と連絡先を渡しておいたが、連絡があったのは丁度、私がある会合のあった駐車場から出ようとした時だった。今、西林寺の杖ヶ淵にいるという。今日、泊めてあげたい。
でも、翌日には叔母のお葬式で、ほぼ広島に行くことが、急遽決まっていた。どうすればいいのだ?また連絡するからと、取りあえず、電話を切り、家に帰った。
西林寺から家は結構遠い。家に帰って夫に相談しようと思っていたのに、夫は家に携帯を置いたまま外出している。夫がいたらすぐに車で迎えに行ってくれただろう。
で、彼は結局、電車を乗り継いで、最寄の駅まで来てくれてた。そこまでは迎えにいけた。彼はもう夕食まで買っていて、取りあえず連絡をしてくれただけかもしれないのに、電車賃まで使って家に来てくれた。知らない人の家に来るのは気も遣うだろうに。
とても素直な気持ちのいい子だった。生き方のようなことは夫も交えて話をしたが、結局彼は最後まで何を生業として生きているかについては話さなかった。「今までしていたことをもう一度してみようかと思っている。」とは言っていた。彼はまだ若くてこれから生きていかなくてはいけない。
翌朝、いっしょに家を出て、駅まで彼を送り、私たちはそのまま広島まで行った。その後、「自転車はありました。」とラインで連絡してくれた。あれから、2週間あまり、まだ元気にお遍路を続けて、四国路を走っているのだろうか。
彼は、家を出る前に、仏壇でお線香をあげて娘のお参りをしてくれた。思ってもいなかったのでびっくりもしたが、嬉しかった。
それから、2~3日経った頃だろうか、車を運転している時に、ふと、あの「懐かしい目」が何だったのか、分かった。あの目は娘の目だったのだと。そう思うと彼のしぐさや行動までもが何となく娘に似ていたような気もしてくる。
彼には、最初に会った時から「何となく懐かしい目をしている。」と言っていたし、それを彼も覚えていて、夫とも話題にした、がその時は分からなかった。
これも娘からのプレゼントだったのかな?